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研究概要

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行動生態学

水圏資源生物学研究室では水圏に棲息する生物、主に魚類を対象にし、それらの自然状態における生態を解明する資源生物学的研究を進めています。具体的には、「行動生態学」と「水産資源学」の2つの手法をとりいれたフィールドでの調査研究を進めています。

「行動生態学」の手法に基づいた研究では、個体識別した個体群の長期的な観察や、野外操作実験によって、繁殖や採餌活動に関わる種内・種間関係、生活史パターン等を研究し、行動や生態の機能とその発現機構、および社会構造を詳しく分析することを目的としています。水温・水の透明度が高くて、豊かな魚類群集の存在する場所を調査フィールドとし、1970年から鹿児島県大隈諸島の口永良部島で研究を進めてきました。沖縄のサンゴ礁での研究も実施しています。

 スノーケリングやスキューバダイビングを用いた観察調査は、魚類社会の研究を効果的に進める上で重要な研究方法です。しかし、生き物の暮らし方に応じて、また研究視点によって、調査方法を柔軟に考えることがとても大切です。タイドプールや波打ち際に生息する魚の研究などでは陸上から観察調査が可能です。また、飼育実験を中心に展開して謎が明らかになる研究テーマもたくさん存在します。

水産資源学

水産上有用な魚介類を水産資源(水産資源生物)と呼びます。「水産資源学」の手法に基づいた研究では、主に瀬戸内海において“とる漁業”によって漁獲される水産資源をターゲットに、ランダムサンプリングを念頭に、フィールドでの個体採集や、今治魚市場や広島県沿岸各地での市場での買い付けにより、分析試料を定期的に確保し、分布、系統群、発育、年齢と成長、成熟と産卵、食性、生活史サイクルといった個体群や系統群レベルでの生物学的性状・生態情報・個体群動態をとらえることを目的としています。

研究対象は、水産上重要な魚介類から選定するだけでなく、将来の漁業生産につながる生物生産の上で重要な生物も視野にいれて研究を進めています。

これらの研究に加えて、練習船豊潮丸の協力のもと、瀬戸内海中西部水域や口永良部島周辺の南洋水域の魚類相調査も行っています。魚類群集の今を捉えておくことは、環境変化が予想される未来にとって重要なデータになります。

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ねらい

上記のいずれの研究においても、温帯・亜熱帯海域における水圏の資源生物の有効利用に貢献することを目指しています。行動生態学的研究と水産資源学的研究は決して択一的なものではありません。潜水観察とサンプリング分析など、2つの手法を柔軟に取り入れながら研究を進め,行動レベルと個体群レベルの双方から魚の暮らしを詳しく読み解くことで、多様な生物が同居できる仕組みを、より詳しく具体的に理解することが可能となります。その知見は、豊かな海をうまく維持・利用する人類の知恵の創出につながります。

これらの研究活動を通じて、個体レベルから個体群レベルまで広い視野をもち総合的に生き物のありさまを理解・考察できる学生を育てることを教育目標としています。

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